セカンダリー投資

【銘柄選びが重要】セカンダリー投資で勝ちやすい銘柄の特徴について解説

抽選のないIPOのセカンダリー投資は、通常の株式投資と同様、誰でも取引できます。

そこで問題になるのが

「どんな銘柄に投資すれば良いの?」

ということ。

当然のことながら、IPOのセカンダリー投資はどんな銘柄を選んでも良いわけではありません。

上場後に上がっていく可能性の高いものを選ぶことが大切です。

そうは言っても、

「どんな銘柄が上場後に上がっていきそうか分からない」

という人が多いでしょう。

セカンダリー投資用の銘柄選びにはコツがあります

筆者はファンド業務を行っていますので、これから上がりそうな銘柄を日々選んでいます。

突如として上がるタイプの銘柄を選ぶこともありますが、基本的には中長期で上がる銘柄を選んでいきます。

中長期で上がりそうな銘柄選びのポイントを、そのままセカンダリー投資にも応用することができるのです。

そこで今回は、IPOのセカンダリー投資をする場合の銘柄選びについて解説します

どのような観点から銘柄をチェックするのか、ここで基本を押さえましょう。

Contents

セカンダリー投資は銘柄選びが最重要!

セカンダリー投資を行う上で大切なのは、銘柄選びです。

セカンダリー投資では、基本的に、上場後、徐々に値上がりする可能性の高い銘柄に投資します。

そのため、上場時にあまり人気がなく、初値が公募価格をそれほど上回らない銘柄を選択するのです。

ただ、そのような銘柄を選んだからといって、その後に株価が必ず上昇するわけではありません。

そのためには見るべきポイントがあります。

そこで次に、徐々に値上がりする可能性の高い銘柄の選び方について解説したいと思います。

セカンダリー投資で勝ちやすい銘柄の傾向の特徴6個

セカンダリー投資で勝ちやすい傾向にある銘柄の特徴は

  1. 初値が公募価格を大幅に上回っていない。
  2. 増収増益傾向にある。
  3. 為替変動や商品価格の変動が業績に与える影響が少ない。
  4. PERが低い。
  5. 自己資本比率が合格ライン。あるいは、資金繰りに問題がない。
  6. 事業内容と収益モデルに将来性がある。

の6つです。

それでは、1つずつ見ていきましょう。

特徴1:初値が公募価格を大幅に上回っていない

IPO銘柄は、初値が公募価格を上回る傾向が強く、初値が公募価格の何倍にもなるケースもあります。

セカンダリー投資ではこのような銘柄は除外します。

なぜなら、初値が上がりすぎると、その後は下降トレンドに入ることが多いからです。

また、初値が公募価格割れとなった銘柄も基本的には外します。

なぜなら、公募価格割れとなった後も下落が続いたり、思うように上昇しないケースが多いからです。

セカンダリー投資では、初値が公募価格を大幅に上回っていない銘柄を選びます。

IPO銘柄の公募価格は基本的に20%~30%ほどのディスカウントをされています。

そのため、セカンダリー投資の銘柄選びでは、このことをまずは念頭に置きます。

ディスカウントされているのに初値さほど上がらないということは、まだ上昇余地があるかもしれません。

その上で、公募価格に対し初値が30%以内の上昇しかしなかった銘柄をピックアップするのです。

特徴2:増収増益傾向にある

初値が公募価格を少ししか上回らない銘柄の中には、そうなるだけの理由が存在するものもあります。

そこで、次に確認したいのが、

  • 売上高
  • 営業利益

です。

売上高と営業利益を見て、増収増益基調が続いているものが投資対象になります。

そのため、減収減益が続いているものは除外します。

ただし、基本的には増収増益基調であるものの、一時的に減収減益になっているケースもあります。

そのような場合は、どうして減収減益となったのかを確認しましょう。

その内容が、設備投資や研究開発費など将来の事業拡大を狙った一時的なものであれば問題ないとみなします。

ただ、今後も設備投資などに積極的にお金を使う計画であれば、その場合は除外しましょう。

さらに、増収増益が続いている場合でも、上がり方の弱いものは除外します。

売上も営業利益も前期比2桁増(つまり10%以上)の上昇を続けている会社を選ぶようにしましょう。

特徴3:為替変動や商品価格の変動が業績に与える影響が少ない

増収増益基調が続いている銘柄の中で次に見たいのが、為替変動や商品価格の変動による影響です。

例えば、海外でも事業展開している会社の場合、為替変動が業績に与える影響が大きくなります。

また、金属や農産物など、商品価格が業績に影響を与える銘柄もあります。

そのような銘柄はどうしても業績が不安定になりやすいため、避けた方が良いでしょう。

商品価格が業績に影響を与える典型例が鉱山会社である住友金属鉱山(5713)です。

同社は1590年に京都に銅吹所を設立し、その後は日本各地の銅山経営を行いました。

現在では世界各国で鉱山の開発や精錬を行っています。

銅が始まりの同社ですが、現在では金・銀・白金・ニッケルなど非鉄金属の精錬や販売も行っています。

それだけでなく、電子材料や基板材料も提供しています。

特徴4:PERが低い

新規上場する会社というのは、基本的には会社のさらなる成長を目標にしています。

つまり、新規事業などにより業績を拡大させたいと考えているわけです。

そのための資金調達の手段として、新規上場します。

そう考えると、新規上場する会社というのは成長段階にある会社、ということになります。

成長段階にある会社の指標として見たいのがPERです。

PERとは株価収益率のことを言い、株式投資の基本的な指標として知られています。

なお、PERは株価÷1株あたり当期純利益(EPS)で算出することができます。

また、時価総額÷当期純利益で算出することも可能です。

PER10倍というように言いますが、このPER〇倍の〇の部分の数字は投資資金の回収期間を意味しています。

つまり、PER10倍であれば、現在の株価で買った場合、投資資金の回収に10年かかるということになります。

これがPER5倍であれば回収に5年、PER100倍であれば回収に100年かかる計算になります。

筆者はPERが15倍以下であれば基本的には割安とみなします

ただし、PERは業界によって平均がまちまちであるため、同業他社と比べることが大切です。

そこで、次に同業他社のPERを調べてみましょう。

先ほど書いたPER15倍以下というのはあくまで目安です。

PERの業界平均が低い中で15倍未満の場合、投資対象にはならない可能性もあります。

反対に、PERの業界平均が高い中で15倍を超過していても、割安になる可能性もあります。

そのため、まずは同業他社と比べてどうなのか、ということを確認しましょう

その上で、その銘柄のPERが下位3分の1以内にあるのなら、投資対象になります。

PERを比較するのは自分でもできますが、一つ一つ計算するのは手間がかかります。

そんな時に利用すると便利なのが証券会社の取引ツールです。

証券会社の中には、独自の分析ツールを用意している会社もあります。

例えば、マネックス証券の「銘柄スカウター」では、同じ業種のPERを折れ線グラフで比較することが可能です。

また、その会社の予想PERの推移をグラフで確認することもできます。


出典:日本株分析ツール「銘柄スカウター」が大幅に進化! | 最新情報 | マネックス証券

特徴5:自己資本比率が合格ライン。あるいは、資金繰りに問題がない。

自己資本比率も確認したい指標の一つです。

自己資本比率が高いほど財務状況が安定しているのですが、その時の基準となるのが大体40%です。

自己資本比率が40%以上であれば財務状況は問題ないとみなします。

もしも40%を割り込んでいる銘柄の場合は、その会社の資金繰りをチェックします。

財務諸表を確認し、その会社の流動資産と流動負債を比較しましょう。

もしも流動資産が流動負債より大きいようであれば基本的には問題ありません

ただし、流動資産の内訳には気を付けて下さい。

流動資産の内訳を見て、

  • 流動資産の内訳のうち、現預金が大部分を占めており、現預金>流動負債になっている。
  • 現預金+受取手形および売掛金-貸倒引当金>流動負債

の場合は自己資本比率が40%を割り込んでいても基本的には大丈夫です。

ただ、それでも自己資本比率が20%未満の会社については投資先対象外とします。

特徴6:事業内容と収益モデルに将来性がある。

事業内容についても確認しましょう。

これから事業環境が悪化しそうな業界の銘柄は避けた方が良いでしょう。

その一例として、2020年の東京五輪後に不況が心配されている不動産業が挙げられます。

他に見たい点としては、収益モデルです。

収益モデルには主にストック型とフロー型があります。

中でもストック型は継続的な収益を稼げるビジネスモデルです。

そのため、ストック型のビジネスを展開している会社であれば、投資対象としてベターであると考えます。

このように、セカンダリー投資の銘柄選びの際は、基本的にこれら6つの特徴を満たす会社へ投資します。

しかし、実際には6つの特徴を全て満たしているわけでないケースの方が多いです。

その場合は、まずは自己資本比率とPERを必須条件にしましょう。

その上で、他の点を確認していきます。

さて、銘柄選びのポイントを押さえたら、さっそく銘柄選びを行い、実際に買い注文を入れましょう。

次の章で、その手順について解説します。

セカンダリー投資での具体的な銘柄選びの手順と注文の仕方

セカンダリー投資で投資する銘柄は、IPOが予定されている会社の中から選びます。

IPOが予定されている会社は、インターネットで調べることができます。

その中から先ほど挙げた条件を満たす銘柄を選んでいきます。

なお、その会社の業績については「有価証券報告書(新規公開時)」で確認できます

参考:トビラシステムズ[4441]:有価証券届出書(新規公開時) (有価証券報告書) :日経会社情報DIGITAL

上場日当日に投資することも可能ですが、2日目以降に投資するのもOKです。

いずれにせよ、上場した銘柄の初値が公募価格をどのくらい上回ったのかを確認しましょう。

その中から初値が公募価格に対し30%以内の上振れに収まったものをピックアップします。

買う時は、通常の銘柄の買いと同じです。

ここでは、SBI証券の取引ツール「Hyper SBI」を使う方法を紹介します。

STEP1:該当の銘柄を検索し、チャートを表示する。

①「銘柄コード」にチェックしたい銘柄の銘柄コードを入力し、「チャート」ボタンを押下。

②該当の銘柄のチャートが表示される。

STEP2:チャートや板を見て、買い注文を入れる。

①チャートの上にある「取引」ボタンをクリックする。

②「取引ポップアップ」画面が表示される。その中に板と発注画面がある。

STEP3:買い注文を入れる場合は基本的に指値注文で。上場日翌日からは信用取引も可能。

①新規注文タブをクリックする。

②デフォルトで「現物」が表示されているので、右横の下向き三角ボタン「▼」を押下。下に帯状に制度信用など他のメニューが出てくる。信用買いをしたい場合は、この中から「制度信用(6か月)」を選択。

③指値注文なので、買いたい株数の他に買いたい価格についても入力する。

④株数と価格を入力したら、「買確認」ボタンを押下する。

⑤注文確認画面が表示されるので、取引パスワードを入力し、「注文発注」ボタンを押す。

補足:制度信用取引で信用買いする場合の注意点。

信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類があります。

一般的に信用取引といえば制度信用取引のことを指します。

制度信用取引とは、取引所により、取引できる銘柄や借りた現金、株式の返済期限が決められた信用取引です。

取引できる銘柄は取引所が設けた基準を満たしているものとなり、返済期限は最長6か月と決まっています。

参考:信用取引のしくみ | 日本取引所グループ

そのため、制度信用で株を買った場合、6か月後までに反対売買でポジションをクローズさせる必要があります。

それ以上の期間保有したい場合は、いったんポジションを手仕舞いましょう。

手仕舞いとは、持っているポジションを反対売買で決済してしまうことです。

反対売買とは、買いポジションの場合は決済売り注文を出すことをいいます。

反対に売りポジションの場合は返済買い注文を出すことを言います。

このようにしてポジションをいったん手仕舞いしてしまったら、その後すぐに同一銘柄を買い直します。その際は、制度信用取引で買いましょう。

6か月後、同じように保有期限が訪れます。

さらに長期間保有するのであれば、同じように手仕舞います。そして、制度信用取引で買いなおすのです。

制度信用取引で長期保有したい場合は、これを繰り返します

セカンダリー銘柄を買う場合は、このような流れで行います。

それでは次に、筆者ならどんな銘柄をセカンダリー投資用に選ぶか、ということについて紹介します。

筆者だったらこの銘柄を選ぶ!事例を紹介

筆者はベンチャーキャピタルをはじめとした投資会社でファンド業務を行ってきました。

現在もファンド業務に携わっていて、上場株を投資対象にしています。

投資家から集めた資金を基に投資しなければいけないため、投機的な運用はできません

「投資」という観点から銘柄を選ぶ必要があります。

そのため、「中長期的に上がる」銘柄を探すようにしています

「中長期的に上がる」という観点からセカンダリー銘柄を選ぶ場合、該当する銘柄は多くはありません。(が、それでもプライマリー投資での値上がりを狙って抽選に応募するより、投資のチャンスは多いです。)

その観点から筆者が選んだ銘柄を3つご紹介します。

なお、最後の1つについては、同じ銘柄を何度か投資することを前提に選んでいます。

事例1:(銘柄名)ラクスル(4384)

まずは、CMでお馴染み、印刷ECのラクスルです。

同社では、物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」も手掛けています。

ラクスルは2018年5月31日に上場しました。

同社の主力の印刷ECは成長中の分野であり、需要は潜在的に大きいと考えられます。

国内の印刷市場の中で印刷ECが占める割合は1割にも満たない状態です。

そのため、新たなシェア獲得が今後期待できるのも大きなポイントです。

知名度や将来性への期待感から、ラクスルのIPOは注目を集めました

しかし、公募より売出の方が大きかったことから、初値は思うほど値上がりしませんでした

また、複数のベンチャーキャピタルが大株主になっていたことも初値の上昇抑制要因になったと考えられます。

なお、同社の初値は公募価格に対し9.7%上回るだけにとどまっています。

とはいえ、同社の業績自体は良好で、2桁増収が続いて右肩上がりです。

ただ、先行投資がかさみ、赤字が続いていたことが難点でした。

ですが、その赤字も過去3期で徐々に縮小し、上場時の2018年7月期には黒字転換の予想となっていたのです。

そのため、このことがポジティブ材料であると考えられました。

同社の自己資本比率は上場の直近の2017年7月期時点で61.8%と問題ない水準です。

また、2018年7月期の1株当たり当期純利益は0円31銭。

ほぼ無いに等しいため、PERについてはあまり参考にならないと考えられます。

なお、すでに書いたとおり、同社の収益の柱は名刺やチラシの印刷ECサービスです。

名刺やチラシの印刷は同じ業者に発注する傾向が強く、ストック型ビジネスモデルに近いと考えられます。

さらに、同社はCMを積極的に打ち出しています。

そのため、知名度が高く、それだけで新規顧客がつく可能性が高いのもポイントです。

このことも同社のポジティブ材料であると考えられます。

なお、同社の株価は上場以降細かい変動はあるものの右肩上がりです。

文句なしにおすすめのセカンダリー投資銘柄であると言えるでしょう。

事例2:(銘柄名)EduLab(4427)

EduLabは2015年設立のまだ新しい会社です。2018年11月に上場しています。

同社の設立母体の一つが英検協会です。

その英検協会などと共同で、英語学習を支援するAIを活用したE-learningを企業・個人向けに提供しています。

また、テストの問題作成、システム構築や管理運営の受託も行っています。

人気のAI関連銘柄で注目度が高かったものの、マザーズ上場銘柄のわりに吸収金額(公開規模)が大きかったのがネックに

同社の吸収金額は46.4億円の想定でした。

IPOでは、上場する市場によって市場から調達できる金額が異なります。

この市場からの調達資金の総額を吸収金額(公開規模)と言います。

マザーズに上場する場合は大きくても30億円程度が限界です。

そのため、EduLabの初値は公募価格に対し2.2%しか上回りませんでした。

とはいえ、同社の業績は概ね右肩上がりで毎年2桁台の増収増益が続いています

また、2019年9月期も増収増益予想です。

連結での自己資本比率は上場時の直近の2018年9月期時点で32.4%と40%を下回ります。

ですが、同社は同時点で流動負債よりも流動資産の方が多くありました。

また、同時点の「現預金+受取手形」および「売掛金-貸倒引当金の」額も流動負債より多かったのです。

そのため、同社の資金繰りに問題はないと判断できました。

PERに関しては、平成31年9月期の1株あたり当期純利益の104円20銭で換算すると31.38倍です。

割高なように思いますが、同業他社のPERはさらに割高であることから、相対的に割安であると考えられます。

なお、主力のe-Testing/e-Learning事業はライセンス収入など固定顧客からの収入がメインのため、ストック型に分類されます。

このことはポジティブ材料です。

なお、同事業では英検関連サイトの運営やソフトの開発を行っています。

英検の受験者数は年々増加傾向にあります。

そのため、英検のブランド力を活かした事業展開ができるのも同社の強みであると考えられます。

一方テスト運営・受託事業は入札制により受注する仕組みとなっています。

そのため、こちらは入札結果次第では受託できないこともあり、変動が大きいのがデメリットです。

ただ、同事業が全体に占める割合は25%程度に過ぎません。

以前は同事業の割合がかなり高かったようです。

同社ではこの状況を打破するため、e-Testing/e-Learning事業を主体にすべく転換を進めてきました。

その結果、うまくシフトが進んだと言えるでしょう。

今後もライセンス収入を安定的な成長のけん引役にする方針を同社ではとっています。

初値が3,270円だった同社株は割安だったことから買いが集まり、いったん4,000円台まで上昇しました。

その後は2019年2月8日に発表された2019年9月期1Q決算が弱い内容だったことから3,000円を割り込んでいます。

しかし、悪化が一過性のものだったことから、その後の株価は上昇。2019年6月には7,490円となる年初来高値を付けました

その観点から考えると、この銘柄は売買を複数回行える銘柄であると言えるのではないでしょうか。

会社の業績内容は良好で今後の業績拡大も期待できるため、長期保有にも向いている銘柄です。

セカンダリー投資銘柄としても良いと考えられます。

事例3:(銘柄名)イボキン(5699)

イボキンは、近畿、中国、四国地方を中心に展開する解体・リサイクル企業です。

2018年8月2日にジャスダックに上場しました。

同社は全国展開を目指しており、全国各地のリサイクル・解体業者との提携に前向きなのが特徴です。

なお、同社の初値は公募価格に対し19.7%上回りました。

同社の事業内容は解体事業、環境事業、金属事業の3つです。

そのうち、金属事業が売上高の半分強を占め主力になっています。

懸念事項としては、金属事業は商品価格の影響を受けることが挙げられます。

このことから、同社の売上高や経常利益にはやや変動があります。

売上高は上場時の直近の2017年12月期に2桁増収だった一方、営業利益の伸びは1桁台で緩やかです。

また、主力の金属事業は営業利益率も2.7%(2018年12月期)と低いのが難点です。

ただ、これは商品価格の影響を受けたところが大きいと考えられます。

一方、同社の営業利益率で最も高いのは解体事業で、こちらは10.2%です。

同社では解体事業の拡大を図っており、2018年12月期の売上高の構成比は25.2%と前期比3.8pt増となりました。

なお、解体事業については、上場時の予想で2018年12月期に前期比24.3%増と大幅に伸長する見通しでした。

そのため、このこともポジティブ材料であったと考えられます。

同社の事業内容は人気のある業種ではなく、上場時は注目を集めにくかったのではないでしょうか。

ただ、高度成長期に建てられた建築物の老朽化が進む昨今、解体市場は徐々に拡大基調にあります。

そのため、今後30年間で解体対象となる施設が大幅に増加すると予想されているのです。

このことを勘案すると、同社の事業の将来性については問題ないと考えられます。

上場時、同社の自己資本比率は連結で38.7%と、基準となる40%を割り込んでいました。

ですが、流動負債よりも流動資産の方が多くありました。

さらに、現預金+受取手形および売掛金-貸倒引当金の額も流動負債の合計より大きかったのです。

このことから、同社の資金繰りに問題はなく、自己資本比率が40%未満でも問題ないと考えられました。

なお、同社の2018年12月期予想1株当たり純利益は147.98円です。

これを基に算出した同社の始値のPERは15.6倍ほどになります。

上場時点の同業他社のPERと比較しても割安な方であったと言えるでしょう。

また、同社は現状株主還元に積極的で、2018年12月期には記念配当を出しています。

2019年12月期も1株あたり30.0円の配当を予想しており、現状増配傾向にあるようです。

配当を出す銘柄の場合、基本的に株価が底堅く推移する傾向にあります。

そのため、このこともポジティブ材料であったと考えられるのです。

同社の株価は権利付売買最終日となった2018年12月26日から3営業日目に年初来安値を付けました。

しかし、その後は上昇トレンドになっています。

権利落ち後に安値圏に入ったことを考えると、買うタイミングはこのあたりがベストだったようです。

同社は上場後に上昇トレンドが2度あり、下降トレンドも2度ありました。

このことを考慮すると、ずっと持ち続けるよりも、何度かトレードした方が良い銘柄であると言えるでしょう。

セカンダリー投資の場合、売買のタイミングを考えたい銘柄であると考えられます。

補足:上場初日の急上昇を狙う方法について

セカンダリー投資には、上場初日の値上がりを狙う方法もあります。

この場合、初値が公募価格を上回った銘柄は基本的に全部投資対象ということになります。

ですが、筆者はこの方法をあまりおすすめしません

なぜなら、初値を付けた後の株価の動向は完全に需給次第になるからです。

きちんとした材料を基に株価が動くのではなく、「とにかく上がるから」という理由で売買する人が増えます。

その結果、上場後に株価がぐんぐん上がることもよくあるのですが、大抵の場合、一過性のもので終わります

このような観点で取引することを否定はしません。ですが、少々投機的な側面があるのも確かです。

もしもこのような方法で取引したいのなら、株価の上昇を深追いせず、早めの利益確定を心がけましょう。

まとめ

今回はセカンダリー銘柄の選び方の基本を解説しました。

文中で紹介した6つのポイントを基に銘柄を選んでみましょう。

ただし、6つ全部に当てはまる銘柄は少ないです。

実際、先ほど紹介した筆者のお勧め銘柄も、6つの条件を全てクリアしているものはありません。

6つの条件の全部をクリアしていない場合、最低限押さえておきたい2つのポイントをまずは確認しましょう。

2つのポイントをクリアしていたら、次にポジティブ材料とネガティブ材料をそれぞれ洗い出してみるのです。

その結果、ポジティブ材料の方が多ければ買いであると判断します。

このようにして、セカンダリー投資の銘柄を決めていきます。

今回紹介したセカンダリー銘柄の選び方はあくまでも「基本」です。

6つの条件に当てはまっていても、景気など他の要因で思うように上がっていかないこともあります。

そのため、絶対ではない、ということは念頭に置いておきましょう。

銘柄選びに慣れてきたら、もっと精度の高い判断方法を自分なりに見つけてみて下さいね。

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